インプラントは、失った歯を歯の根っこから回復できる唯一の治療法で、見た目が自然で、噛み心地も天然歯に近いです。
ただ、顎の骨に歯根となるネジのようなも(チタン製が多い)のを埋め込まなければならず、この点に不安を感じている方も多いです。
確かに、体の中にチタンという金属を入れると、金属アレルギーを心配してしまう方もいらっしゃいます。
そこで今回は、インプラント治療で使用する「チタン」の性質や金属アレルギーのリスク、人工歯に使われるジルコニアの安全性などを岐阜市南鶉の江﨑歯科が解説します。
目次
■チタンとはどんな金属?
チタン(Ti)とは、原子番号22の元素で、オーソドックスな銀色をしています。一見すると鉄に見えるかもしれませんが、チタンには以下に挙げるようなたくさんの特長があります。
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強度が高い(鉄の約2倍)
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軽い(鉄の約60%)
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錆びにくい
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人体に優しい(不導体被膜を形成)
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しなりやすい
チタンは、鉄と同じ金属でありながらこのような性質を備えているため、次のような製品の材料として広く活用されています。
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ゴルフクラブ
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自転車のフレーム
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航空機の機体構造材
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自動車のエンジン
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人工関節
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歯科用インプラント
最後の歯科用インプラントが今回のテーマであり、チタンという金属の特長を生かした製品のひとつといえるでしょう。
■インプラントのチタンは金属アレルギーを起こさない?
インプラント治療では、純チタンやチタン合金が用いられますが、基本的に金属アレルギーを発症することはありません。
なぜならチタンは生体親和性が高い金属だからです。医療の分野では、古くから人工関節やペースメーカーの素材としてチタンが活用されており、金属アレルギーのリスクが低いことがわかっています。
◎チタンも金属アレルギーのリスクがゼロではない?
ここで注意しなければならないのが「チタン」の金属アレルギーのリスクがゼロではないという点です。
チタンも金属の一種である以上、稀ではありますが金属アレルギーを発症することがあります。インプラントメーカーの中には、ジルコニア製の人工歯根を開発・提供しているところもあり、これはチタンアレルギーを持っている方への貴重な選択肢となります。
とはいえチタンアレルギーを発症するリスクは少ないため、過剰に心配する必要はあまりありません。もちろん、チタンアレルギーへの不安がある方には、事前に金属アレルギーの検査を受けることが推奨されます。
■インプラントで「チタン」を使うメリットが多い理由
上段で解説したチタン特長を知るだけでも、インプラントの人工歯根としてメリットが多い理由がわかるかと思いますが、実はこの金属にはもうひとつ重要なポイントがあります。
それはチタンが「オッセオインテグレーション」という現象を引き起こしやすい金属である点です。
◎オッセオインテグレーションとは?
オッセオインテグレーションとは、チタンと顎の骨が直接的に結合する現象です。つまり、インプラント治療においてチタン製の人工歯根は、ネジのように顎骨へと埋め込まれるだけでなく、時間をかけて骨とくっついていくのです。
イメージとしては、体の中に埋め込まれたチタン製のネジが拒絶されることなく、むしろ逆に一体化するような形で取り込まれているような現象です。
当然、金属と生きた組織が一体化することはないのですが、強固に固定されることは間違いありません。
この「オッセオインテグレーション」が起こることがインプラント治療のかなめとも言えるでしょう。
■人工歯や人工歯根に使われるジルコニアの安全性について
上記でも少し触れましたが、インプラント治療の人工歯にはジルコニアがよく用いられます。ジルコニアは金属に匹敵する硬さを備えていますが、金属ではないため金属アレルギーを起こすリスクはゼロです。
また、見た目が白色で天然歯に近い外観に仕上げることができるため、インプラント治療に限らず、通常の詰め物・被せ物治療でもジルコニアが多用されています。
そんなジルコニアもチタンと同様、生体親和性に優れており、お口の中や体の中に定着させる素材としてよく用いられます。
■まとめ
今回は、インプラント治療で使用するチタンの性質について解説しました。
チタンは軽くて強度が高く、生体親和性に優れた金属で、金属アレルギーのリスクがほとんどありません。また、顎の骨としっかり結合する性質を備えていることから、インプラントの人工歯根として適切な素材でしょう。
そんなチタンでも稀に金属アレルギーを発症することがあるため、不安に感じている方は事前に皮膚科での検査を受けることが推奨されます。
その他、インプラント治療におけるチタンやジルコニアについて知りたいことがあれば、いつでもお気軽に岐阜市南鶉の江﨑歯科までご相談ください。