食べ物を噛む力は、栄養摂取という観点のみならず、全身の健康維持・増進、深刻な予防にも強く関係しています。そのため噛む力が弱くなったり、噛めなくなったりすると、様々なリスクが生じます。
今回はそんな「よく噛むことが良い」と言われる理由や噛む力が衰えることによるリスク、噛む力を回復させるための歯科治療などを岐阜市南鶉の江﨑歯科がわかりやすく解説します。
噛む力が弱い・噛みにくいという症状に悩んでいる方は、このコラムを参考にしてみてください。
目次
■噛む力が弱くなる原因とは?
噛む力が弱くなる、あるいは噛めなくなる原因としては、以下のものが挙げられます。
◎歯の喪失
噛む力を根本から支えるのは「歯」です。親知らずを除くと全部で28本生えてくる永久歯は、すべてがそろった状態で本来の力を発揮します。
その中の1本でも失うと、噛む力は低下するのです。とりわけ咀嚼機能の主体となる奥歯を失った場合は、噛む力が弱くなりやすです。ちなみに、日本人が歯を失う原因は、多い順に歯周病・むし歯・破折です。
◎歯周病の重症化
歯周病は、進行すると歯を支える歯茎や顎の骨が溶けていく病気です。支えを失った歯は、食べ物を噛む時にグラグラと揺れるようになり、咀嚼ができにくくなります。これもまた噛む力が弱い・噛めないという症状を引き起こします。
◎口腔機能低下症
口腔機能低下症とは、高齢の方によく見られる病気で、噛む・飲み込む・しゃべる・呼吸する力が低下します。まさに今回のテーマである「噛めない」症状と直接的に関連している病気です。
口腔機能低下症の原因としては、加齢や薬の副作用、不適切な食習慣・口腔ケア、適合の悪い補綴物(詰め物・被せ物・入れ歯など)など、様々なものが挙げられます。
◎合わない入れ歯を使っている
入れ歯を使っていて、噛む力が弱い・噛めないと感じている場合は、本当に今の自分に合っているのか歯科医師に確認してもらいましょう。合わない入れ歯は、噛む時にズレたり、外れたりするため、噛む力も自ずと弱くなります。
◎やわらかいものばかり食べている
やわらかいものばかり食べる食習慣も噛めない症状を引き起こしやすいです。具体的には、あまり噛まずに飲み込めるものばかり食べることで、お口周りの筋肉が衰え、噛む力が弱くなります。
■噛む力が弱くなるリスクについて
噛む力が弱い・噛めない状態を放置していると、以下に挙げるようなリスクが生じます。
◎食べられるものが制限される
噛む力が弱くなった状態では、食べられるものが制限されてしまうことがあります。
つまり、やわらかいものばかり食べるようになり、噛む力をさらに弱めてしまうのです。噛めないことで食べたいものが食べられず食事が制限されるのは、ストレスの増加にもつながります。
ストレスは万病の元であり、増えれば増えるほど、お口や全身の病気のリスクも増大します。
◎唾液の分泌が低下する
私たちの唾液は、食べ物を噛む時にたくさん分泌されます。唾液には、自浄作用・消化作用・抗菌作用・緩衝作用・歯の再石灰化作用など、お口の健康維持に重要な役割がたくさんあります。
噛めないことで唾液の分泌量が低下すると、健康に悪影響を及ぼすリスクが高まります。
◎消化不良による栄養障害
食べ物をしっかりと咀嚼せずに飲み込むと、消化不良を引き起こします。歯で食べ物を細かく噛み砕くことができず、胃腸に大きな負担をかけるだけでなく、栄養障害も引き起こすため、十分な注意が必要です。
◎認知症やうつ病のリスクが上がる
よく噛むことは、認知症やうつ病のリスクを軽減できることがわかっています。なぜならよく噛むことで、脳への血流が促されたり、情緒を安定させるセロトニンの分泌が増加したりするからです。
逆に言うと、よく噛めないと認知症やうつ病のリスクが上がってしまうため、日頃からよく噛むことを意識するのが大切です。
■インプラントは天然歯と同じように噛む力を回復できる
歯がない部分があったり、合わない入れ歯を使っていたりすることで「噛みにくい…」と感じている方は、インプラント治療はメリットの多い治療法です。
インプラントは、失った歯を歯根から回復できる方法。噛んだ時の圧力をチタン製の人工歯と顎の骨で受けとめられるので、硬い食べ物や弾力性の高い食べ物でもしっかりと噛めます。
また、インプラントは固定式の装置であり、入れ歯のようにズレたり、外れたりすることはほとんどなく、使っていく中で噛む力も自然と鍛えられていくでしょう。
ちなみに、保険診療の入れ歯は、天然歯の40%程度まで噛む力を回復できると言われていますが、インプラントによる回復力は80~90%程度に達するものと考えられています。
■まとめ
今回は、噛む力が弱い・噛めないとどうなるのかについて解説しました。
噛む力が弱くなる原因としては、歯の喪失や歯周病、口腔機能低下症などが挙げられ、その状態を放置すると、食事に支障をきたすだけでなく、栄養障害や認知症、うつ病などを引き起こすリスクも生じるため、適切に対処することが求められます。
歯の喪失や合わない入れ歯が原因で噛めない方は、インプラントで改善が見込めるケースも多いので、まずはお気軽に岐阜市南鶉の江﨑歯科までご相談ください。