大人の歯である永久歯は、親知らずを除くと全部で28本生えていきます。永久歯は再生することがない組織なので、この28本を一生涯使い続けることになりますが、多くの方は年齢と共に1本、また1本と失っていくことも多いです。
今回はそんな大人の歯が抜ける原因や抜け始める年齢について、岐阜市南鶉の江﨑歯科が詳しく解説します。かけがえのない天然歯をできるだけ残したい、失わないように対策をとりたいという方は、このコラムの内容を参考にしてみてください。
■大人の歯が抜ける原因について
日本人の大人の歯が抜ける原因は、8020推進財団が行った「第2回永久歯の抜歯原因調査」で明らかになっています。歯が抜ける原因の第1位が「歯周病」であることに驚かされると同時に、どうして「むし歯」ではないの?と疑問にも感じたことでしょう。
※8020推進財団 第2回永久歯の抜歯原因調査
これは歯周病とむし歯の成り立ちや症状を比較すると、わかりやすいかと思います。
◎歯周病が抜歯原因の第1位になる理由
初期の歯周病は、自覚症状に乏しく、気づいた頃には重症化していることも珍しくない病気です。しかも歯周病は、歯を支える歯槽骨が破壊される病気であることから、歯そのものが健康であっても保存が難しくなるという特徴を備えています。
ここでひとつ気になるのが「歯ぐきが赤く腫れる」「歯ぐきから血が出る」といった歯周病特有の症状がありますが、視覚的に確認できる変化であるため、自覚もしやすいのでは?と思われるかもしれません。
しかし実際は、歯ぐきが赤く腫れていることに気づかなかったり、ブラッシング時に出血があったとしても痛みがなければ気にかけなかったりするものです。つまり、病気の自覚や歯科への受診を促す「痛み」が歯周病では現れにくいのです。
その結果、気づいた頃には歯がグラグラするようにまで進行して、歯周病を根本から治すことが困難となります。
◎歯が抜ける原因第2位と第3位は?
歯が抜ける原因の第2位は、皆さまもよくご存知のむし歯です。むし歯は、むし歯菌が産生する酸によって歯質が溶けていく病気で、歯がしみる、歯がズキズキ痛むといったわかりやすい症状が出るのも比較的早いため、手遅れになる前に歯科を受診する人が多いです。それでもやはり歯が直接的に侵される病気であるだけに、歯を失う原因の第2位にランクインしています。
歯が抜ける原因の第3位は、歯の破折です。転倒やスポーツ中のトラブルなどによって歯や歯根が折れて、抜歯を余儀なくされます。また、歯ぎしりや食いしばりなどで歯に強い力がかかると歯根にヒビが入り、破折の原因になることがあります。
歯の破折は歯周病やむし歯とは異なり、外からの衝撃も誘因となることから、日々の口腔ケアを充実させるだけでは予防が難しいです。コンタクトスポーツをしている方は、マウスガードを装着するなどして対応しましょう。
■大人の歯が抜ける年齢について
続いては、大人の歯が抜ける年齢について解説します。歯というのは、年齢を重ねるにつれて抜けていくと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実際はある年代を境に喪失の速度が速まります。それは40~50代にかけてです。
厚生労働省が令和4年に行った歯科疾患実態調査によると、1人平均喪失歯数が1本を超えるのが45~54歳となっています。55~64歳になると、歯を失う本数が平均で3本となります。そして、この年齢・年代は、歯を失う原因第1位の歯周病を発症しやすくなる時期でもあるのです。
それだけにこれから40代を迎える方や40代を超えた方は、歯を失わないように十分な配慮が必要となります。
※厚生労働省 令和4年 歯科疾患実態調査
■歯が抜けた後の治療法は?
歯周病やむし歯、外傷などで抜けた・抜いた歯は、補綴治療で補うことができます。具体的には、ブリッジ・入れ歯・インプラントという3つの補綴の選択肢が用意されており、それぞれに異なる特徴とメリット・デメリットがあります。この中でも近年はインプラントがメリットの多い治療法として注目されています。
インプラントは、失った歯を歯根から回復できる唯一の歯科治療であり、天然歯の見た目や噛み心地を再現するのに適した治療法だからです。また、インプラントには顎の骨が痩せにくい、装置の寿命が長い(10年以上)、他の歯を削る必要がないなど、多くのメリットを伴います。
■まとめ
今回は、大人の歯が抜ける原因や年齢について、岐阜市南鶉の江﨑歯科が解説しました。大人の歯が抜ける主な原因は歯周病、むし歯、歯の破折の3つで、この中でも歯周病で歯を失うケースがとても多くなっています。
歯周病は日本人の国民病とも言われているため、皆さまも発症しないよう十分にご注意ください。当院では、歯を失った方に対するブリッジ・入れ歯・インプラントの治療に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。